『アオの世界へ』
僕は天使だったんだ。
僕は昔、空を飛んでいたんだ。
真っ白な翼を広げ、高く。空高く。羽ばたく。
僕の翼は何処へ行ったの・・・?
綺麗な綺麗な僕の翼は。
僕は空を飛びたかった。
自由に、あのアオの中を泳いでみたかった。
もう一度。
僕に。
翼を下さい。
真っ白な穢れのない、僕だけの翼を。
真っ白な布を、丁寧に、形作っていく。
昔を思い出しながら。
時折、背中に手を当てて、今はもうない感触を確かめる。
布を裁つ。
針と糸で縫いつける。
翼を造る。
僕の翼を。
失くしてしまった、あの日の僕を、造る。
針ト糸ト白イ布。
あの日。
目を閉じて思い浮かべる。
懐かしい・・。 あの日々。
見下ろす、世界の小ささ。
見上げる、世界の広さ。
空の高さ。
アオの世界にいた僕を。
思い出す。
鉄格子の窓から光差す、天井の高い真っ白い部屋。
翼を、造る。
後、もう少し。
白い布<ハネ>が部屋中に散らかっている。
もう少し・・・。
もう少しで僕は飛びたてる。
この白い部屋から抜け出せる。
月明かり。
優しい光に包まれて、僕の翼は完成した。
― 懐かしい ―
月明かりに照らされて輝く翼<ソレ>は、とても美しかった。
コレが、僕の・・・。
僕の、翼だ。
倒れこむ。 顔を埋める。
ソレはあの日より柔らかかった。
月が光に覆われて、白く霞んでいく。
僕は屋上からそれを眺めていた。
アオに溶けていく月を。
いつもの、朝の散歩。
背中には白い翼。
あの日より、軽い。
柵を乗り越えて、ギリギリの処に立つ。
僕は白い翼を背中に背負い。
風に靡かせ翼を広げる。
アオに交わる。
・・・あの日の僕の姿が其処にあった。
― ・・ ああ ・・ ―
僕はまた天使に戻れた。
長い、永い、トキをかけて。
やっと僕は天使になった。
さあ。 飛び立とう。
風に煽られ靡く白い布は、まるで翼のようだった。
天使に、見えた。
翼は、風に煽られ。
世界がゆっくりと流れていく。
羽ばたきながら、落ちていく。
羽ばたきながら、堕ちていく。
僕は、天使になったんだ。
・・・オチていく。
地上に舞い降りたのは、真っ赤に染まった翼と・・・。
『 ・・・ 僕 ハ 、 天 使 ニ ナ ッ タ ン ダ ・・・ 。 』
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空華彩の叶夜泪さんに「翼というもの」と言うお題で、
1000HITのキリバンに頂きましたv
何でこんな変なお題を出したかって
自分に聞きたいくらいだったんですけど。
…まさか、こんな風になるなんて思いもよらなかったデス。。
こんなとらえ方もあるんだなぁって感心(この字であってんのかな?)させられました。
最初の方の「つばさを下さい」と言う言葉が、どうも
小学校の時に歌った「翼を下さい(?確かこんな題名)」を連想させます。
はぁ、、ブラック(?)好きデスvvvv素敵すぎるっ(*><*)
それでわ、度々有難うございますっ!
キリバン踏み魔(何)の蒼鮪でしたっ☆(変な終わり方や)